日本華商総会
中華民国国慶日について
中華民国国慶日(ちゅうかみんこくこっけいじつ)は、中華民国の建国記念日です。別称は双十節、双十国慶、双十慶典といい、1911年10月10日(清宣統三年辛亥年)に発生した武昌起義を記念しております。武昌起義は辛亥革命の発端となり、その2か月後には中国各地で革命運動が続発し清朝が崩壊し、アジア初の共和制国家である中華民国が成立いたしました。国慶日は中華民国の国定祝日の一つであり、毎年政府主催の祝賀行事が行なわれており、また世界各地の華僑による祝賀活動も行なわれています。当総会でも、毎年祝賀行事を行っております。

中華民国建国100年双十国慶節
中華民国100年(2011年)10月10日午前、馬英九総統ならびに夫人の周美青女史は、総統府前広場において開催された「中華民国中枢暨各界慶祝100年国慶大会(中華民国政府および各界による建国100年祝賀大会)」に出席し、「100年の奮闘・民主主義の台湾」と題する談話を発表しました。


(馬英九総統と日本華商総会、東京華僑総会のメンバー)
馬総統の談話の全文は下記の通りです。



中華民国建国100年双十国慶節における馬英九総統祝辞 中華民国100年(2011年)10月10日午前、馬英九総統ならびに夫人の周美青女史は、総統府前広場において開催された「中華民国中枢暨各界慶祝100年国慶大会(中華民国政府および各界による建国100年祝賀大会)」 に出席し、「100年の奮闘・民主主義の台湾」と題する談話を発表しました。

本日は中華民国100歳の誕生日であり、辛亥革命から100周年でもあります。我々は欣喜雀躍たる思いで、共に中華民国の建国記念日を祝賀し、喜びを分かち合い、この偉大で感動的な時を共に過ごすものであります。

100年前の本日、国父・孫文先生は世界を驚かせた武昌起義の発動を先導し、清朝政府と千年にわたる帝政を一挙に打倒し、アジアで最初の民主主義による共和制国家である中華民国を建国しました。本日は台湾のみならず、中国大陸も含めた世界各地の華人がこの辛亥双十節を記念しています。

本日、我々は厳粛且つ崇敬な気持ちをもって、理想を懐き犠牲を怖れなかった革命志士に対し、敬意を表するものであります。この中には、広東の陸皓東、湖南の黄興、浙江の秋瑾、福建の林覚民、台湾の羅福星が含まれていますが、これらの中華民国の英雄諸氏の名は、ごく一部にしか過ぎません。過去100年の間には、開国、北伐、抗戦、内戦から台湾防衛まで、高い志を持った人々がどれほど落命していったか数知れず、それらの人々の絶対多数は無名の英雄であり、青春を捧げ、命を犠牲にしたのであり、それにより中華民国の空を明るく照らしたのでした。

辛亥双十節は、海峡両岸にとり共通の記憶と財産であります。そのため、私はこの機会を借りて、中国大陸当局に呼びかけるものであります。:辛亥双十節を記念するには、国父による建国の理想が自由、民主主義、富が平均化された国家を建設しようとしたことであるのを忘れてはならないのです。中国大陸は勇敢に、この方向に向って邁進すべきであり、これが唯一の方法でもあり、そうしてこそ両岸間における現在の距離を縮めることができるのです。また、辛亥双十節を記念する際には、歴史を分断することはできないのであり、さらには歴史の本来の姿を示し、中華民国が存在するという事実を直視しなければなりません。

中華民国の存在は過去形ではなく、現在進行形なのです。この60年あまりの間、中華民国は台湾において勢いよく発展し、世界において優れた実力を発揮し、今後も台湾は活発に発展し続け、引き続きその実力を発揮していくものであります。

中華民国は抗戦期間中、2,000万人の軍人および民間人の命を犠牲にし、それにより台湾は日本の殖民地統治が終息し、中華民国の版図に戻ることができたのです。もし台湾の復帰がなければ、中華民国は内戦で破れた後、わが国は60年あまり前に歴史の中に埋没し、新しく甦る機会はなく、さらには海峡両岸で異なった発展のプロセスを切り開くこともできなかったのです。

この60年余の間、中華民国は台湾本島、澎湖、金門、馬祖の安全を保障してきたのみならず、中華文化の命脈をも引継ぎ、台湾の経済および政治の奇跡を創出し、台湾の先賢が追求してきた議会制による自治の理想を実現してきたのでした。さらには、民主主義が華人社会の土壌の中で根を生やし、開花させ、結実させることができたのを世の中の人々に証明したのでした。

現在、台湾の国民は自由、民主主義、豊かで充足した生活を享受しており、中華民国という国家に対し、確固たるアイデンティティを凝集させてもいます。また、中華民国憲法はそれよりも以前に、国民全体のコンセンサスの基礎となっています。国父による建国の理想は、当時の中国大陸では実践する機会はなく、現在の台湾において完全なる実現がなされたのでした。

本日、我々は中華民国建国100年の双十国慶節を祝賀するものであり、我々は中華民国を大いなる栄誉とし、台湾の民主主義を大いに誇りとするものであり、現在の台湾が具現化している活力と生活方式は、華人世界の基準となっています。

台湾の面積は広大ではなく、天然資源も乏しく、我々は徒手空拳で発展を切り開いてきたのです。現在、世界に目を向けると、半導体、タブレット型パソコン、スマートフォン、太陽光電といった分野を問わず、台湾の産業は重要な役割を担っており、また同時に、世界的な省エネ減炭に対しても卓越した貢献をしています。今年5月に、スイスの国際経営開発研究所(IMD)による世界の競争力ランキングにおいて、台湾は世界第6位となり、この順位はこれまでにおける最高成績となりました。さらに今年9月の世界経済フォーラム(WEF)が発表した世界競争力ランキングにおいて、わが国の競争力の評価点はこの5年間において最高点となり、世界第13位にランキングされ、この評価項目の内、8項目の指標は世界第1位でした。

また、台湾の若者の才能は満ち溢れ、設計、発明、文化創意の分野においては、輝かしいものがあり、世界の6大発明展において、次々と第1位の成績を収めています。さらに現在、世界にある80%の中国語の音楽は台湾において制作されており、映画、演劇、舞踊、デザインいずれにおいても、台湾は世界の舞台へとランクアップしています。とりわけ、台湾の国産映画は大きなブームが巻き起こっており、台湾の新しい世代は驚異的な創作潜在力を具現化しており、台湾映画のために無限の可能性を切り開いています。

台湾社会は、思いやりの心にも満ち溢れており、現在台湾には4万以上もの非営利組織(NPO)があり、100万人以上ものボランティアが台湾の各地で黙々と奉仕活動を行っており、遠く海外にまで赴き、国際的な人道的援助活動に参加している人たちさえいます。2010年の台湾の国内における献血率は8%で、この数値は世界においても1、2位の高さにあります。また、台湾は30万人の貧困児童を養育しており、その内の20万人は海外にいる児童であり、毎年の慈善寄付金は350億元(約910億円)以上にもなり、その絶対多数は一般の国民によるものです。  台湾のこの地で、我々は尊敬に値するあるいは夢を実践している英雄を数多く見ています。例えば、長年にわたり、黙々と善行を積んでおられる陳綢さん、陳樹菊さん、退役軍人の尹殿甲さん、洪中海さん、アフリカでマラリアの防疫に成功を収めた連日清さん、スーパーマラソンに挑戦した林義傑さん、創意性あるパン製造の達人の呉宝春さん、健康が回復し再起した王建民さん、大金を拾い正直に届け出た楊黄牡丹さん、可塑剤を検出した楊明玉さん、叙事詩的映画を製作した魏徳聖さん、ゴルフ界の女王の曾雅妮さんらであります。我々はこれらの人々から、善良、勤勉・奮闘、進取の気風を見て取り、さらには継続と希望も見て取りましたが、これは台湾が前進する原動力でもあります。

自由と民主主義の中華民国、活力とイノベーションの中華民国、文明的で思いやりのある中華民国、開放的で自信のある中華民国。これこそが我々の国家のイメージなのであり、我々は共に中華民国に喝采し、中華民国のために尽力し青春を捧げた全ての英雄諸氏に対し、最も深遠なる敬意を表するものであります。

この3年間、世界の経済情勢は不安定でありましたが、台湾は安定した歩みをもってこの難局から脱却し、国家の競争力を大幅に引き上げたのでした。これは国民全体が共に努力してきた成果であります。グローバル競争による圧力に対処するには、今後の10年が重要な鍵の10年となります。我々は「黄金の10年」のビジョンを全面的に実行していくものであり、自信の中での開放、イノベーションの中での発展、公の正義の中での前進により、中華民国は徹底的に刷新し、先進国の仲間入りができるよう図ってまいります。

両岸の平和は台湾の繁栄および発展の必要条件であります。この3年余の間、政府は中華民国憲法の枠組みの下、「92年のコンセンサス、1つの中国の解釈をそれぞれが表明する」を基礎として、両岸関係を推進し、台湾海峡の「統一せず、独立せず、武力行使せず」という現状を維持してまいります。また、これは台湾海峡の緊張の大幅な軽減ができるものであり、国際社会による評価と支持も得るところとなったのです。この3年余の間、台湾の政府は中国大陸と15項目にわたる協議に調印し、いずれの協議においても「対等、尊厳、互恵」「台湾を主体とし、国民にプラスとなる」ことを達成させています。両岸の人々は同じ中華民族であり、双方が現実を直視する基礎の下で、小異を残して大同につくようにし、相互に協力し合い、制度化された平和的な関係を構築することを希望しています。

現在、中国大陸は台湾にとり、すでに最大の貿易パートナー、貿易黒字の相手先および投資の地域となっており、中国大陸はグローバル経済の成長を動かす主な牽引力となっています。我々は台湾の優位性を善用し、中国大陸市場に進出し、その他の国々とも自由貿易協定(FTA)あるいは経済協力協議の調印についても速度を速めるようにし、台湾のために新しいビジネスチャンスを切り開いていかなければなりません。9月22日に、台湾は日本と投資協議に調印しましたが、これは成功した事例です。現在、台湾はシンガポールと経済協力協議について積極的に話し合いを行っているところであります。さらには台湾の政府は、地域の経済統合にも参加しようとするものであり、条件作りに努力しており、10年を期限として、現在拡大展開中の「環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)」への参加も図ってまいります。

今後も台湾の政府は、引続き活路外交を推進していくものであり、国交国との関係のさらなる強化を図り、さらには米国、日本、欧州連合(EU)、東南アジア諸国連合(ASEAN)、オーストラリア、ニュージーランドなどの国交のない国々と高レベルでの相互信頼の増進、ならびに台湾の国際社会への参加拡大も図ってまいります。10日前に、英国はわが国と青年ワーキングホリデー協定を調印した7番目の国となり、5日前にはオランダもわが国に対し、海外にあるオランダの6つの属領地へのビザ免除待遇措置をとり、明後日にはブルキナファソが台湾に対しランディングビザ待遇措置を正式に発効させ、わが国の国民がビザ免除あるいはランディングビザを受けることのできる国(地域)の総数は124に達し、私が総統就任時と比べ70カ国(地域)も増加しました。これは国家として評価され、わが国の国民に尊厳があることを示すものであります。

両岸関係を推進する際に、台湾海峡平和の維持は願うだけであってはならず、必ず堅実な国防を後ろ盾としなければならず、台湾の安全はそうしてこそ保障されるのであり、国民も自信を持って中国大陸とより一層の関係改善を図ることができるのです。この3年余の間、台湾は軍事訓練、武器自給面においては長足の進歩を遂げており、また同時に先進的且つ専守防衛的な武器の購入にも何度も成功しております。今後の10年間において、台湾の政府は引続き国防力の強化を図り、精鋭な新しい国軍を構築し、それにより中華民国の主権を守り、台湾の安全を保ってまいります。

国父がかつて「興中会」を設立した時には、メンバーはわずか20数名余でありましたが、彼らは理想を堅持し、勇敢に実践し、時代の流れを掴み、17年後にはなんと清朝政府を打倒し、中華民国を建国したのでした。  本日、我々は辛亥双十節を記念し、先烈先賢のこのような理想主義を継承し、困難を恐れず、勇敢に難局を打開し、我々の国家が華人世界の模範となるようにしていかなければなりません。中華民国は国名のみならず、自由で民主的な生活方式を代表するものでもあり、自由と民主主義にあこがれる華人地域に対して模範的な役割となっていくのです。

光輝ある10月は私にとって申しますと、ほかにも特別な意義があります。60年前の10月、国内が動乱していた中で、私の両親は家族と1歳あまりの私を連れて、自由で安定した生活を求め、香港から台湾へとわたってまいりました。私の両親は、自分の息子が50年余の後、中華民国の総統になるなどとは、全く思ってもみないことであったでしょう。この国、この土地に私は深い恩と感謝の気持ちを持っており、この生涯の全てを捧げて台湾の建設に努力するものであり、自由で繁栄した楽土となり、我々の次の世代が引続き成長し、いずれの子供も出身や貧富に関わりなく、夢を実現することができるよう願っております。  総統に就任し3年余の間、私は責任がきわめて大きいことを実感し、これを少しも緩めることはありません。世界情勢は様々に変わり、問題は随時表れますが、私はこの土地および国民に対して自信を持っています。

中華民国は我々の国家であり、台湾は我々の故郷であります。中華民国の前途と台湾の未来は我々2,300万人の掌中に握られているのであり、我々は団結し、奮闘するようにし、台湾をより一層活力があり、魅力があり、さらなる競争力を持たせるようにしていかなければなりません。

本日はエスニック、与野党、国内外の区別なく、共に中華民国の建国記念日を祝賀するものであります。我々は大きな願いを持ち、かならずや我々の手の中で、台湾を壮大にし、中華を繁栄させ、中華民国の次のすばらしき100年のために基礎を固めていくようにし、中華民国が国際社会において、より尊敬され人々に感動を与える国家となるようにしてまいります。

さあ、我々と共に声高らかに唱えましょう 中華民国万歳、 台湾の民主主義万歳、 皆様ありがとうございました。

(台北駐日経済文化代表処から転載)
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