李逸洋.駐日代表 2025年元旦祝辞
謹んで新年のお慶びを申し上げます。
昨年9月に駐日代表に着任して以来、この数カ月の間に、改めて台湾と日本の関係の緊密さと重要性を実感しています。昨年は台湾東部の花蓮で大きな地震が発生しましたが、日本でも能登の地震災害があったにもかかわらず、いち早く日本の政府と国民の皆様方から心温まるお見舞いの言葉と義援金を寄せていただき、改めて心より御礼を申し上げます。
頼清徳総統(大統領)は日本を極めて重視しており、台日関係のさらなる発展を望んでいます。台日の良好な関係は、これまでの皆様方が長年にわたり積み重ねてきた友情の賜物であります。昨年秋の国際野球大会「プレミア12」で台湾が日本を破って優勝した際には、日本のたくさんの方々が「台湾おめでとう」と一緒に喜んでくれました。
台湾と日本の友好関係がますます強固となる中で、東アジアをはじめとする国際情勢はめまぐるしく変化しており、台日両国の連携強化の必要性がかつてなく高まっています。ロシアによるウクライナ侵略が続くなか、中国は毎日のように台湾周辺に軍機や軍艦を派遣し、軍事的圧力で統一を迫ろうとしているほか、国連をはじめとする国際機関への台湾の参加を妨害しています。
中国は国連総会第2758号決議(アルバニア決議)を曲解し、台湾が中国の一部であるかのように宣伝していますが、同決議は台湾に言及しておらず、中華民国(台湾)と中華人民共和国(中国)は互いに隷属していないのは客観的な事実であり、中国に台湾を代表する権利はありません。
台湾は今年も引き続き、日本政府のご理解とご支持を得ながら、CPTPP(環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定)やWHO(世界保健機関)への参加を求めていきます。台湾は国際社会に貢献できる能力があり、台湾を排除し続けることは国際社会にとっても損失といえます。
台湾は世界の先端半導体の約90%を供給しており、さらにAI(人工知能)の分野でも重要な役割を果たしています。もし中国による封鎖が発生すれば、全世界が大きな損失を受けます。台湾海峡の平和と繁栄は、台湾のみならず、世界各国の経済繁栄にも密接に関わっています。
台湾と日本は自由、民主主義、人権、法の支配といった価値観を共有する大切なパートナーであり、私たちはこの良好な関係を次の世代に伝え、さらに発展させていかなければなりません。台湾は今年も日本、米国、欧州をはじめとする民主主義諸国との協力を深め、「民主主義の保護の傘」を広げ、台湾海峡の平和と繁栄を守っていきます。
本年が良い一年となりますよう、皆様のますますのご健勝とご多幸、並びに台日関係のますますの発展を祈念いたします。
【台北駐日経済文化代表処 2025年元旦】
記事引用:台北駐日経済文化代表処