日本華商総会

謝長廷・駐日代表 2023年元旦祝辞

 謹んで新年のお慶びを申し上げます。


 昨年2月24日に発生したロシアによるウクライナ侵攻、そして中国が台湾に圧力をかける軍事演習などによって、国際社会が台湾海峡をめぐる情勢に強い関心を寄せるようになりました。中国人民解放軍が8月に行った軍事演習で発射した11発のミサイルのうち、5発が日本の排他的経済水域(EEZ)に着弾しました。これはまさに世界平和と国際ルールを破壊する行為です。平和こそが国際社会の核心的利益です。武力による一方的な現状変更は、国際社会に挑戦する行為であり、断じて許すことはできません。


 「台湾有事は、日本有事」とは、一つの概念ではなく、すでに発生している事実です。台湾と日本は、いまや名実ともに運命共同体なのです。双方はより一層団結し、災害発生時のような「助け合い」の精神を発揮し、相互防衛の具体的協力を強化しなければなりません。台湾と日本、そしてアメリカが結束して強固な関係を築けば、台湾海峡および地域の安定と平和をしっかり守れると確信しています。


 台湾と日本は自由、民主主義と人権の普遍的価値を共有するパートナーであり、大切な友人です。台湾と日本が断交して50年が経ちましたが、双方の友好関係は百年以上の歴史を誇ります。外交関係の断絶は台湾と日本の民間の友情には影響がないのです。近年、台湾の各地で日本との絆に関する百周年記念イベントが行われています。


 台南にある烏山頭ダムや屏東県にある「二峰圳」など多くのインフラが日本人の手によって建設され、百周年を迎えた現在も地元の人々に活用されています。これこそが台日友好の絆を繋ぐ礎となっているといえます。


 私は駐日代表に就任して6年余り、日本47都道府県すべて訪問し、日本各地との関係構築に力を入れてきました。各都道府県はそれぞれ独特な個性と魅力を持っています。地方ならではの活力とパワーがあると私は思っています。これは、すべて訪れたからこそ言えることです。


 日本と台湾の関係は、家族兄弟のように極めて緊密で友好的なものであり、もはや形式的な政治関係を超越しています。双方は災害や危機に見舞われたときには、必ず互いに協力し、支援し合っています。これは友好関係の最高の境地であります。


 最近ようやく新型コロナウイルスの水際対策が緩和され、台湾と日本の人的往来が徐々に再開されています。台日の実質的な関係を支えている地方交流は極めて重要です。これからは防災、科学技術、教育、文化など各分野におけるさらなる交流も期待できます。そしてこの友好関係を若い世代に引継ぎ、台湾と日本の「百年の絆」が次の百年も続いていくことを期待しています。


 結びに、台湾と日本の友好関係のさらなる強化を心よりお祈り申し上げます。


 【台北駐日経済文化代表処 2023年元旦】


記事引用:台北駐日経済文化代表処

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