日本華商総会

蔡英文総統が新年の「談話」、今年の施政方針など語る

記事引用:台北駐日経済文化代表処

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 蔡英文総統は1日早朝、「中華民国112年(=西暦2023年)元旦総統府升旗典礼(=国旗掲揚式)」に出席したあと、総統府大礼堂で2023年の「新年談話」を発表した。蔡総統はこの談話で、今年の重要な施政方針として、「人々の生活のケア」、「経済の活力維持」、「国の安全を守る」、「地域における責任を全うする」の4つを挙げた。以下は談話の要旨。


 この1年間、台湾の人々は誰もが数々の困難を乗り越えてきた。2023年も同じく、楽な1年にはならないだろう。新たな1年、我々の政権は「人々の生活のケア」、「経済の活力維持」、「国の安全を守る」、「地域における責任を全うする」の4つを重要な任務とする。


 ロシアによるウクライナ侵攻、世界で同時進行するインフレーション、権威主義の拡張による衝撃などを踏まえ、海外の多くのシンクタンクが2023年は世界的に経済成長の減速が続くと予想している。各国は経済、金融の劇的な変動に加え、エネルギーや食糧危機が繰り返し出現するなど高い不確定要素に直面し、経済構造や経済成長の活力などが試されるだろう。台湾も例外ではない。


 このため12月31日に国家安全会議のハイレベル会合を開き、「国民の負担軽減」、「物価の安定」、「産業構造の調整」、「経済の活力維持」という4つの目標を打ち出した。


 このほか、2023年は外国人観光客延べ600万人の突破を目指す。そのために、インバウンドを担う旅行業者、海外企業のインセンティブツアー、台湾観光、修学旅行、クルーズ船旅行、チャーター便などについて助成を行う。また、農業保険や農業者のための労災保険などを拡大し、100万人とも言われる農業者の生活のさらなる保障を目指す。


 また、万が一に備えて財源に余裕を持たせ、財政が許す範囲内で、国民がこれらを享受できるような実施可能な方法を適時検討したい。この財源を国民に均等に分け与えるべきだという主張があることは承知している。しかし、世界経済が高い不確定要素に直面しているこのタイミングで、責任ある政府としてできることは万が一に備え、大切な資源を高いリスクを持つ人々や産業に優先して充て、国の危機対策能力を維持することが先決だと判断した。この判断を下すのは容易なことではなかった。しかし、国のため、やむを得ないことだ。国民の理解と協力を求めたい。


 12月27日に、私は「全民国防兵力の強化に向けた構造調整計画」を発表した。トータル・ディフェンス(全面防衛)の体系を見直し、調整することで、義務兵役の訓練の質と量を強化し、わが国の防衛力を引き上げるのが狙いだ。


 国を守るのは軍だけの任務ではない。すべての国民に共通する責任だ。ここ数日間、各方面と義務兵役の調整計画についてさまざまな議論を重ね、提言を受け入れてきた。我々はこれらの意見をまとめ、この計画をさらに良いものにしていきたい。これからも軍、そして国防への支持をお願いしたい。我々の国家と自由、そして民主主義を守るため、ともに努力していこう。


この機会に北京当局に伝えたい。台湾海峡の平和と安定はこの地域を取り巻く国々が担う共通の責任であり、あらゆる人々にとって共通の期待であると。


 新型コロナウイルスのパンデミックから世界の政治・経済の変化など、台湾海峡両岸も同じようにさまざまな挑戦に直面しているが、戦争は決して問題解決の選択肢にはならない。対話と協力、この地域の安定と発展を共に促進しようという目標のみが、より多くの人に安全と幸福を与えることが出来る。


 最近中国では新型コロナウイルスの感染が急速に拡大している。もし必要があれば、我々は人道的な立場に立ち、中国が必要とする協力を行い、一人でも多くの人がコロナ禍から抜け出し、健康で穏やかな新年を迎えられるよう手助けしたい。


Taiwan Today:2023年1月3日


写真提供:総統府


蔡英文総統は1日、総統府で2023年の「新年談話」を発表した。蔡総統は今年の重要な施政方針として、「人々の生活のケア」、「経済の活力維持」、「国の安全を守る」、「地域における責任を全うする」の4つを挙げた。

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